天山工房 探訪記
去る05年3月7日、かねてより深く興味を抱いていた鉢作家の天山さん(本名:佐伯さん)の工房をお訪ねした。
閑静な住宅街の一角に天山さんの工房はあった。
地図を見ながらこの辺のはずだが・・と探してもなかなか見当たらず・・。
それもそのはず、一般の住居の中に工房をかまえていらっしゃるので、表札と並んで少し大きめの「天山」というかんばんがあるだけ。
おお、ここだ!
高鳴る胸をおさえつつ、ピンポンする。
応対に出てこられたのは40〜50才くらいの男性。とっさにああ、息子さんなのだなと思った。
訪ねることを連絡していたものですが・・と伝えると、「お待ちしていました」
も、もしやこの方が天山さん?
当たりだ。もっとお年を召された方かと思っていた。
拍子抜けする私のそばから暖かく迎えてくださり、和やかな口調でお話してくださった。
奥様曰く「気さくなへそ曲がり」。おっしゃるとおりいやみの全くないとても気さくな方!!
へそ曲がり=自分の意思に忠実であるがための自嘲的表現と思った。
なぜならば、○○鉢(○○には植物のカテゴリが入る)と、鉢の対象となる植物ごとに培養に適した専用の鉢をそれぞれ作っているからだ。
培養がおろそかになるような鉢ではいけないという揺るがないポリシ−をもっているのだ。
実際、「陶芸家じゃなくて鉢作家だから陶芸家のタブ-も平気でやっちゃうよ。培養上よくないものは鉢として失格だからね」といったような内容のお話をなさっていた。
対象となる植物ごとに、使用する土や鉢の厚さ、鉢穴の大きさにいたるまで、全て自らの培養でテストして得られた結果から決めているようだ。
かといって鑑賞鉢に必要な美しさをおろそかにしているわけではない。
ご存知のことと思うが、欄鉢の透かし彫りの技術は圧巻!やはりあのすごさは写真では伝わらない。実際に手にとって見せていただいて、ため息の連発だった。なんと天山さん、透かし彫りの技術は全て独学で体得したのだという!!
「土が湿り気を帯びていても乾きすぎてもうまく彫ることはできない」とのこと。そう、もうお気づきだと思うが、あの透かし一つ一つを天山さんご自身が整形した鉢から切り抜いて作っているのだ。無論型紙などない世界。全ては経験の積み重ねによる賜物!
さらに欄鉢以外で培養に土を使うもの(山野草や盆栽)に透かしの技法を用いる場合、透かしの入ったアウタ−と土を入れるインナ−を合体させて「2重」にした2重鉢構造としているのだ!
形の技巧だけではない。
釉薬の研究も深い・・けどわたしゃあんまり良くわからない世界・・。
同じ釉薬でも条件を替えることでこんなにも違うのか!というほど「窯変」のすばらしさも実際目で確認させていただいた。
もっとももう再現できない・・というものもあるようではあるが・・。
さらに今年から、絵付け鉢にもチャレンジされるとのこと。
実際見せていただいたがなんともいえない柔らかな表情の童をお描きになる。ぜひ下の画像を見ていただきたい。
「考えながら新しいものを作り出すのがとても楽しい」といった意味合いのことをおっしゃっていたが、拝見させていただいた作品からすでにひしひしと伝わってますよ、天山さん。
小さな盆栽の鉢にも力を入れてみよう!と意欲満々。今後のご活躍に大きな期待!それとがんばれ〜!!
というわけでまた伺いますよ〜天山さん!
| 天山さんの作品(欄鉢)すごい透彫り! | 香炉。こんな物まで!実際見てビックリ!! | こちらは盆栽鉢。写真じゃ一寸見づらいけどとても優しく丁寧な絵付け。 | 絵付け直後の鉢。童の表情としぐさがとても優しい。 | |
| 同じ釉薬をつかってもこの窯変! | こちら天山さんの盆栽だ!自作の鉢に植え込み培養の成果・時代乗を試しているのだそうです。 | 培養成果を試すほかにも、特殊な意匠は忘れないようにする目的もあるそうです。 | これぞ天山さん秘奥義!!表面の透彫りのアウタ−と培養土を入れるためのインナ−を合せている! | |
| 私の天山鉢コレクションのひとつ。3つある足にそれぞれ異なった透かしが入れられている。 | コレクションその2。径は両方とも3cm程度。右のニワウメはこの鉢に入って2年目。植替を済ませたが根の張りの良さには驚いた。 | コレクションその3。変化があり飽きの来ない発色。 | 実際に植えつけてみる。樹はユスラウメ。実がつけばきっと鉢色と合うんだろうに・・。 | |
| これも今年手に入れたもの。ニシキギを植えてみた。実がつけば最高! | 桜の花の彫りには白い釉を、そして青緑色の釉をぼってり掛けてある花の部分に青緑が垂れてしまったので天山さん的には失敗作とのこと。味のひとつと見れば私的には楽しい作品! | 手捻自然釉鉢。これまたなんとも素朴な風合いの鉢。むろん水抜けは計算されている。4本足すべてに小さな穴があけられている。 | 天山工房のHPはこちらから |